地震大国・日本に住みながら、地震のことについて知らない人って実は多くない? そのひとり、文系女子・J子と一緒に、地震のメカニズムや今後起こりうる地震への備え方について一緒に学び、考えていきましょう!

icon_aA:独立行政法人防災科学技術研究所勤務の30代地震マニア男子。ニックネームは「アジー」。

icon_jJ子:静岡県出身、都内荒川区在住の20代文系OL。ひょんなきっかけでアジーと出会い、地震について学ぶことに。ミーハーで情報に流されやすいのがたまに傷。

【A】数回に渡って「全国地震動予測地図(≒J-SHIS Map)」についてご紹介してきました。これまでさらっと流してきましたが、J子さん、「地震動」について正しく説明できますか?

【J子】え?「地震」のことじゃないんですか?

【A】実は違います。

【J子】えええ!

【A】「地震」は、プレート運動などで、地面の中に蓄積されたひずみが限界に達して断層が破壊する現象です。地震が起きると地震波が発生し、地震波が地表に到達すると地面が揺れます。この揺れ自体を「地震動」といいます。

つまり、「地震」が起こると、地表にいる私たちは「地震動」を感じるのです。

【J子】なるほど。つまり普段、私たちが何気なく使っている「地震」という言葉には、「断層が破壊する現象」と「(地震の発生によって)地面が揺れる現象」の2つが混ざってしまっているのですね。

【A】そういうことです。ですが、地震の研究やJ-SHIS Mapでは、地震と地震動を正確に区別して考えています。なぜなら、「地震動」は、震源からの距離や、その地点の地盤の固さによってその大きさが変わるからです。

fig1

地震の研究で区別される地震と地震動

地震 地震波の発生源である断層運動
地震の規模を表すのは「マグニチュード」
(◯時◯分発生マグニチュード×.×の地震という出来事)
地震動 地震波によって生じた地表や地中の振動
地震動の強さを表すのは「震度」
(人や建物が見舞われる揺れ)

【A】 J-SHIS Mapは、地震が起こったときのある地点での揺れ=地震動を計算し、予測した地図です。

【J子】なるほど!だから“地震”予測地図ではなくて“地震動”予測地図なんですね。「確率論的地震動予測地図」を選択すると、「30年震度6弱以上の揺れに見舞われる確率の分布図」が表示されますもんね。

【A】 はい。「確率論的地震動予測地図」は、ある地点で、そこに影響を与えうる地震を考慮したときに、ある期間内に少なくとも1回、あるレベルを超える地震動に見舞われる確率を表しているのです。これを、「地震動の超過確率」といいます。

【J子】「地震の発生確率」は地震に紐づく情報、「地震動の超過確率」は地点に紐づく情報、ということですね。

【A】その通り! ではさっそく、J-SHIS Mapを使って具体的に見てみることにしましょう。

J-SHIS Mapで地震の発生確率を調べる

J-SHIS Mapを開いて、左にある「震源断層」で「主要活断層帯」の右の四角をチェックして、地図に主要活断層帯を表示しましょう。今回は、大阪駅周辺を見てみることにします。検索窓で「大阪駅」と入力し、大阪駅周辺の地図を表示させます。そして、「上町断層帯」(下記の青色で表示されている断層)をクリックして、この断層の地震活動モデルを見てみましょう。
※   透過率100%にして表示しています

※   透過率100%にして表示しています

【J子】小さなポップアップ画面で表示されたのが、地震活動モデルですね。どれどれ…。

30年発生確率(%) 2.89%

というように、なっていますね。

【A】同様に、周辺にあるいくつかの断層についても、同様に地震の発生確率を見てみましょう。

fig3

「六甲・淡路島断層帯主部六甲山地南縁—淡路島東岸区間」や「中央構造線断層帯金剛山地東縁」は0%になっていますが、これは「0%=地震が起こらない」というわけではありませんよ。今後30年間という地震にとっては短い期間で見た場合の発生確率が、限りなく0に近いということです。
発生確率の数値が高いほど、その断層由来の地震の発生が迫っていることを表していますが、地震の発生確率が大きい順に地震が起こるわけではありません

【J子】でも、上町断層帯の2.89%も結構低いじゃん、と思ってしまったんですが。

【A】内陸活断層の地震にとっての30年発生確率2.98%は、決して低いとは言えない数値なんです。「震源断層」の下にある「地震活動モデル」のボタンをクリックして、「30年発生確率(%)」を降順にソートしてみてください。194の主要活断層のうち、もっとも確率が大きいのは、「糸魚川-静岡構造線断層帯 北部・中部」の14.4%ですが、2%台の断層が10位以内に食い込んでいます。上町断層帯も11位に入っていますよ。

fig4

【J子】ええ、そうだったんですね……。数値だけではわかりませんね。

J-SHIS Mapで「地震動の超過確率」を調べる

【A】次に、大阪駅、京都駅、神戸駅の3地点での「地震動の超過確率」を調べてみましょう。建物が倒壊するなど大きな被害が出る揺れの大きさを示す「震度6弱」以上の揺れに注目してみることにします。まず、検索窓に「大阪駅」と入力して、大阪駅の地点情報を表示します。
※地点情報の出し方はこちらの記事を参照してください。

fig5

すると、
震度6弱以上となる確率 52.7(%)
となっていますね。同様に、京都駅、神戸駅でも調べてみましょう。

fig6

【J子】神戸駅で42.3%、京都駅で14.5%となっています。震度6弱以上の揺れに、つねに備えておかなくちゃ、ですね。

【A】そうです。地震動の超過確率が大きい地点から順に強い揺れに見舞われる、というわけではないので油断できませんよ。地震と地震動、地震の発生確率と地震動の超過確率をJ-SHIS Mapで見てきましたが、これらの違いは理解できましたか?

【J子】はい!

【A】よかったです。さらに詳しく知りたい人は、こちらの資料を参考にしてみてください。

http://www.slideshare.net/NIEDbosaiJSHIS/twoprobabilities

【A】次回は、私がJ-SHIS Mapの中でも多くの人に知ってほしい「長期間平均ハザード地図」について熱く語りたいと思います。お楽しみに!

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